9条加憲は、必ず、拡大解釈を生む




1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

(元山さんら憲法学者が想定する「9条第3項」の例)

3 A案 前項の規定は、自衛隊の存在を妨げるものとして解釈してはならない。

  B案 前項の規定は、我が国を防衛するための必要最低限度の実力組織としての自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。

  C案 前項の規定は、国際法に基づき、我が国の独立と平和並びに国及び国民の安全を確保するために、内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊の設置を妨げるものではない。
(3は、毎日新聞2017年10月27日東京夕刊より引用)


自民党が憲法9条の1項、2項を残したまま、3項を追加するという加憲を主張しています。
世論調査によると、この加憲案は、かなりの方々の賛同を得ているように見受けられます。
しかし、この加憲案を支持する人達というのは、あまり深く物事を考えてはいない人達です。
深く考えれば深く考えるほど、この加憲の危うさというものがわかってくるのです。
現に、憲法9条は、今までにも、物凄く拡大解釈をされてきたではありませんか?
普通に、素直に、この条文を読んだとしたならば、
自衛隊のような陸海空の戦力は持てないと解釈できるはずです。
けれども、拡大解釈によって、自衛隊のような陸海空の戦力、軍隊が、
持てるというふうにしてきたのです。
普通の憲法や普通の法律であるならば、
ただ書いてある通りに、字義通りに、
素直に解釈をすればそれで済むのですが、
こと軍事関係の条文というものは、
その書かれてあることの倍も、3倍も、10倍も、
拡大解釈されてしまう傾向にあるのです。
ですから、慎重に、注意深く、用心深く、
私達は、あるべきなのです。
そして、安保法制による集団自衛権の行使に至っては、
もう拡大解釈の範囲をはるかに超えて、
明らかに、憲法違反だと、多くの人達は思っているのです。
だから、この加憲については、くれぐれも、
軽く考えないようにして頂きたいと思います。

例えば、私は、この加憲を行ったとしたならば、
多分、日本は、即刻、核兵器保有に踏み切るのではないかと思っております。
今までは、条文を読んでも、自衛権があるのかどうかといったことも、
はっきりとはしていなかったのですが、
しかし、無理矢理、拡大解釈をして、
何とか個別的自衛権は持っているということにしてきたのです。
でも、自衛隊という言葉を入れたとしたならば、
自衛権を持っているということは明明白白になるのです。
今までは、自衛権すら明白ではなかったのですから、
弾道ミサイルや空母等は、持てないということに、
自ら、抑制してきたのです。
例えば、B案のように、「必要最低限度の」といった形容が付いたとしたならば、
引き続き、弾道ミサイル、空母、核兵器は、持てないという風になるとは思いますが、
A案、C案のようにしたとしたならば、
戦争のためではなくて、あくまでも自衛のためということであれば、
その範囲には、際限がなくなると、私は、思っています。

例えば、国会で議論、論戦をしたり、
国民的な議論をしたりなどといったようなことは、
核兵器の保有の前には、決して、起こり得ません。
なぜならば、核兵器の保有の意思を示したとしたならば、
国際社会から大きな非難を受けることになるからです。
そして、実行に移したとしたならば、大きな制裁を受けることになるのです。
現在の北朝鮮と同じような制裁を、日本も受けることになるのです。
日本が核兵器を持つとしたならば、
極秘の内に、特定秘密に指定して、行うことになるはずです。
恐らくは、現在、既に、
核兵器開発に関する調査、見積もり等
(例えば、どのくらいの年数、費用がかかるかとか、
核実験場に適した場所は、日本国内のどこか等の調査)は、
特定秘密に指定して、原子力に詳しい大学教授か誰かに、
依頼はされていると思います。
そして、国民投票によって、改憲がなされたならば、
すぐにでも、日本は、核兵器開発に踏み切ることになることでしょう。


恐らく、日本政府の関係者は、
私の言うことを根も葉もないデタラメだと否定することでしょう。
しかし、それならば、どうして、
「非核三原則」を法制化しないのでしょうか?
それから、どうして、
核兵器禁止条約に、日本は参加をしないのでしょうか?
日本は、核拡散防止条約(NPT)に参加はしていますが、
でも、核実験を実施する直前に、
核拡散防止条約からの脱退を表明することになるはずです。


私が思うに、日本人ほど、競争心が強くて、
負けず嫌いな国民、民族はありません。
その競争心が強い、負けず嫌いの日本人が、
ライバルの中国も持っていて、
北朝鮮も持っているのに、
自分達は持っていないなどということが、
そもそも、許せるはずがないのです。


自民党のタカ派の国会議員の方達の本音というのは、
9条改憲を行うのだったならば、
やはり、核兵器は持てるようにしたいということだと思います。
核兵器も持てないくらいならば、
9条改憲を行う意味がないと思っているはずです。
自民党の本音は、改憲草案に書いた
「国防軍」の設置。
しかし、それでは、国民の理解を得られないし、
連立を組む公明党の理解を得ることも困難だから、
妥協して、「自衛隊」。
けれども、その実態は、
弾道ミサイルも、
空母も、
核兵器も、
保有している
立派な「国防軍」なのです。


しかし、けれども、
この加憲によって、すぐに、
日本は戦争を行うことができる国になるわけではありません。
戦争を行うことができる国になるためには、
最低でも、2回の改憲が必要です。
1回の改憲では、無理です。
2回の改憲を行うためには、
後20年はかかることでしょう。
後20年経てば、ほぼ戦争体験者は、
この世にいなくなります。
(戦争体験者がいなくなれば、戦争が風化して、
戦争に対する抑止力が失われてしまいます。)




合   掌





























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